ANAは満を持して投入したハワイ路線のエアバスA380、愛称「フライングホヌ」は総2階建ての巨大機体です。
その座席数は520席となっていて、主に羽田からホノルルに向かうANAのB787-9の246席と比較してもその座席数は2倍となっています。
ANAのフライングホヌが発表されたとき、一つの懸念が上がりました。「ただでさえ出国検査場が鬼混雑するんじゃない?」「搭乗や降機に1時間以上かかるんじゃない?」などなど、常に満席に近いハワイ便で通常の倍の人数を運ぶからこそ懸念される色々な混雑問題です。
今回はANAHawaiiのプレミアムエコノミークラスを利用してきた際に、色々なところにかかる諸時間をチェックしてきたのでご報告したいと思います。
- 成田空港出発|搭乗→出発40-50分
- ホノルル空港到着|到着→入国50分
- ホノルル空港出発|搭乗→出発30分(遅延していたので急ぎ気味)
- 成田空港到着|到着→入国30分(ダイヤステータスの恩恵大)
成田国際空港|搭乗開始→出発
成田国際空港のA380フライングホヌの出発は主に第1ターミナルの第4サテライトから始まります。それはA380用のボーディングブリッジがここに設置してあるからです。
すべてのお客さんを1階から入れて、機内の階段で2階まで誘導するのはどうしたって時間がかかります。そのための2階にも直接入れるボーディングブリッジが必要なんです。ハワイ出発便が集中するここに作った、とも言えます。
45番搭乗口の搭乗ゲートは3つ。フルに利用します。
作る列は4つです
- グループ1|ファーストクラス&ANAダイヤモンドメンバー
- グループ2|ビジネスクラス&スターアライアンスゴールドメンバー(ANAプラチナ・SFC)
- グループ3?|プレミアムエコノミークラス&エコノミークラス後方席
- グループ4?|エコノミークラス前方席
案内は小さな子ども連れや手伝いが必要な方から始まって、その次に①→②→(③→④)の順で進んでいきます。3→4は見てないので、たぶんですが。
ゲートを通過した後は、エコノミークラス前方・エコノミークラス後方・2階席クラス(ファースト・ビジネス・プレエコ)と3方向に分かれていきます。
動線を増やしてなるべくスムーズに搭乗を進めようという考えがよく伝わってきますね。
そしてボーディングブリッジから機体が離れた(少しでも動いた)瞬間が「出発」の時間となります。
では実際に出発まで要した時間ですが、今回の利用便は20:10出発予定となっているNH184便でした。
ワタシはグループ2が始まった頃にグループ1の列から搭乗しました。
- 19:15|赤ちゃん連れ・お手伝いが必要な方の優先搭乗
- 19:25|グループ1
- 19:35|プレミアムエコノミーに着座
- 20:11|出発
この日は予定通りの時間に出発となりました。搭乗開始から出発までに要した時間は55分です。エコノミークラスの搭乗の様子は1階と2階で分かれているので全く分からないのですが、スムーズだったようですね。
通常のANA国際線B787の搭乗開始時刻は出発の30分前頃なので、A380では1時間近く前から搭乗を開始させることにより、定刻出発を目指しているようです。
ちなみに優先搭乗して出発まで40分近くありましたが、荷物を整理したり機内エンターテイメントが見たりできるので、全く苦になりません。
ホノルル国際空港|到着→出国
次はダニエル・K・イノウエ(ホノルル)国際空港に到着してから入国するまでの時間です。ただでさえホノルル空港の入国審査場は混雑すると言われていたのに、さらにフライングホヌから500人のお客が殺到するとなると、ますますひどくなるんじゃないかと心配されていた事項です。
ちなみに「到着」とは通常機体が停止した時刻を指します。
フライングホヌの機外カメラから見た着陸の瞬間です。到着予定時刻が8時45分だったのでこのとき8時32分なので予定通りなのでしょう。(到着予定時刻は季節によって変わります。)
降機口はホノルル国際空港の新しいANAラウンジが直結している搭乗口と同じになります。この時、飛行機が停止した時刻が8時41分なのでほぼ定刻通りの到着となります。
日本人らしくベルト着用のサインが消えると多くの人が即座に立ち上がって荷物をまとめて降りようとします。ところが、順番は当然前方のファーストクラス・ビジネスクラスからとなり、座ってお待ち下さいとの悲しいアナウンスが流れます。
プレミアムエコノミークラスの比較的後方席だったワタシが外に出たのは8時50分でした。
この日の降機は2階席と1階席は別々に同時に行われていたようで、途中で1階席のお客さんと合流します。
さらにおそらくJALで到着したお客さんとも合流して、多くの人混みの中を延々と入国審査場まで歩くことになります。
フライングホヌが到着したC4スポットはホノルル空港のかなり端の方にあるので、10分以上歩く必要があります。
ここからは「NO PHOTO」なので写真はないのですが…
- 9時過ぎに入国審査場に到着
- 子連れなので奥の方に案内されて列がそんなに長くなく10-15分待ち
- 預け荷物検査場到着が9時20分頃
- すでに荷物は外に並べられていたのですぐに回収
- 税関検査は日本人はほぼ全てスルーされてました
そしていつものホノルル空港入国口の外にでて「ハワイだァァァ!」と心のなかで気勢を上げたのが9時30分となります。
今回は到着から入国まで60分弱かかったのですが、このペースは今までのJALやANAやデルタ航空を利用したときとそれほど変わらなかったな、という実感です。
ワタシの場合、いろいろな要素があるのであくまでご参考までに、というペースです。要素は以下の通りです。
- 到着時間が日本便の中でも早め
- エコノミークラス後方席よりは降機が早かった|今回はプレエコ利用のため
- 子連れなので入国審査場は比較的少ない場所に案内されることが多い
- ANAダイヤモンドなので預け荷物の回収が早い
①について、ホノルル空港に8時台に到着する日本便はANAの成田発第1便とJALの成田発第1便、そして成田発のデルタ航空です。7時台は2便しかありません(うち1つは成田発のユナイテッド航空)。
もちろん他の国からも到着していますが8時台はそれでも計5便しか到着しません。それが9時台になると8便、10時台も8便とどんどん増えていきます。
なのでANAの成田発第2便、10時過ぎにホノルル空港に到着した人たちは入国審査に1時間かかったという話も耳にしました。その場合、もうフライングホヌは関係ない状態ですね^^;。
④の預け荷物に関しては、入国審査で時間がかかると荷物が出てくる方が早いことが多そうなのであまり時間に影響はないかもしれません。
ホノルル国際空港|搭乗開始→出発
ホノルル国際空港を出発するANAのA380フライングホヌは、基本的に1階と2階同時に搭乗できるデッキが備わっているC4スポットを利用します。
2019年8月現在、ANAのA380は長男のラニ君、次男のカイ君の2機体制です。しかし毎日2機体制となっているわけではなく、2機体制なのは週に3日程度で、1機体制のケースが多いです。
そしてホノルル空港から2機出発する時は、どちらかがこのC4スポットを利用できない時があります。
その場合の搭乗に要する時間は今回のリサーチでは分かりません。
C4スポットは新設したANAラウンジから直接搭乗できるのも話題となりました。
ホノルル国際空港に新設されたANAのラウンジは、ANAラウンジからビジネスクラス・スターアライアンスゴールドメンバーやプレミアムエコノミークラス利用者が、ANAスイートラウンジからはファーストクラス・ダイヤモンドメンバーが優先的に搭乗することができます。
ANAラウンジは1階分高いところに設置してあって、ANAラウンジの下にもラウンジから搭乗できない方々の搭乗口はあります。
プレミアムエコノミークラスはANAラウンジを利用することができるので、下の階のグループ1・グループ2のレーンは必要なさそう…と思いきや、やはり数名はこっちから入っちゃうようです。機内の階段を使ってCAさんに1階から2階のプレエコシートに案内されている方々がいました。
ちょっと分からないのが、全員ステータスがなくANAスイートラウンジ利用券を使ってANAスイートラウンジを利用している場合、スイートラウンジからその方々は搭乗できるのでしょうか?
この日は11時30分出発予定の便だったので、搭乗開始時刻は10時40分頃とアナウンスされていました。しかし途中でホノルル国際空港の荷物検査の機器不具合のため出発時刻が遅れるということがありました。
ほぼ1時間遅れの11時40分にお子様・お手伝いが必要な方の優先搭乗がスタートしました。
この時点で並ぶ人はほとんどいませんし、必要ないかもしれませんが、ワタシはブログ写真のためになるべく早く並びます。
11時50分過ぎにANAスイートラウンジからの搭乗が始まりました。いかにANAダイヤモンドメンバーと言えども、このANAラウンジ側から「僕ダイヤモンドです!」と言って乱入するのは困難と思われます。
ちなみにDFSで購入した免税品はこのゲートを通った後に受け取ることができます。下の搭乗口とは全くつながっていないので、DFSで品物を購入する時プレミアムエコノミークラス以上か否か(つまり下の搭乗口を利用するのか上の搭乗口を利用するのか)をしっかり確認されました。
ANAスイートラウンジからの搭乗はそれほど多くなく、11時51分にはグループ2の搭乗が始まり、下の搭乗口と交わらない通路で11時52分には機内に潜入しました。
ドアがクローズして機体が動き始めた(つまり出発)のが12時11分でした。
グループ2で搭乗開始して20分後には出発しました。なんかめちゃめちゃ早くてスムーズですね。下の搭乗口からはいるエコノミークラスのお客さんだけでも通常のB787と同等以上の人数がいるはずなのですが、これが搭乗口を完全に上と下で分けた効果なのでしょうか?
まあ下の搭乗が同時スタートだったかどうかは分からないのですが、とにかくホノルル国際空港でこのラウンジ直結の搭乗口を利用する限り、フライングホヌの搭乗が余計に時間がかかるということはなさそうですね。
成田国際空港|到着→入国まで
今回利用したNH183便は14時45分に成田国際空港に到着する予定でした。しかし出発が40分遅れたので、到着も多少遅くなりました。
パイロットさんが気合を入れたのか、少し遅延した程度の15時ちょうどに成田国際空港に到着しました。
成田空港に予定より25分遅れの15時10分に到着しました。フライングホヌはその大きな収容人数から基本的に沖止めリムジンバスになることは少なく、ボーディングブリッジから降機することになります。
その際は搭乗時のように2階から出るのではなく、2階利用者は1階に階段で降りて1階のドアから降機することになります。
上が全部降りるまでエコノミークラスの人たちはブロックされてしまうのですが、エコノミークラスの後方席の人達は別ルートから降機できます。フライングホヌがスポットに着いたのが15時10分、ワタシが降機したのが15時20分だったのでエコノミークラス前方のブロックされていた人たちもそれほど待たされないのではないかと思います。
実際フライングホヌエコノミークラスの搭乗記を拝見したことがありますが、すごく待たされて時間がかかった印象はない、とのことでしたし。
フライングホヌの売りの1つでありカウチシートは1階席最奥にあるので、特に降機の時にすごい待たされる印象がありましたが、この搭乗・降機方法ならさほどでもなさそうですね。
第4サテライトから入国審査場まではかなり歩きます。10分弱ぐらいでしょうか。
入国審査の混雑具合はその時の状況によりますが、ワタシは子どもがいたので顔認証レーンには行かず通常の審査でした。待ちは1組だけでした。
降機から15分後には受託手荷物を受け取りました。ここは流石にダイヤモンドメンバーのパワーが凄くて、まだ前のグアムからの荷物が流れている中にハワイからのファーストプライオリティタグが付いた荷物が出てきました。待ち時間ゼロです。
前の方の記事を拝読すると、ここで大きな差が出たようで、ノンステータスのエコノミークラス利用だと30分程度は待たされるかもしれません。
税関でも待ち時間はほぼなく、フライングホヌの成田国際空港に到着してから入国まで30分かかりました。
フライングホヌを利用して到着から30分で入国というのはちょっと出来すぎで、入国審査・受託手荷物受取などの時間を加味すると、やはり50−60分ぐらいはかかるのではないかと思います。
日本だと日本人は入国審査が早いぶん、受託手荷物の受け取りにかなり待たされる印象ですね。
まとめ
ANAがHawaii路線に満を持して投入した巨大機体A380、愛称フライングホヌは今までの2倍近い座席数より、搭乗も降機も混雑しそう、入国審査に長い列ができそう、ホヌに人が流れてくれれば便利な羽田発着便が空いてくるので嬉しい、など色々と言われていました。
しかし実際に利用してみると、動線をしっかりと考えて運用しているのがよく分かりました。
- 成田空港出発|搭乗→出発40-50分
- ホノルル空港到着|到着→入国50分
- ホノルル空港出発|搭乗→出発30分(遅延していたので急ぎ気味)
- 成田空港到着|到着→入国30分(ダイヤステータスの恩恵大)
それ故、プレミアムエコノミークラスを利用したワタシとしては今までと所要時間は全然変わらないなと思いました。搭乗開始時刻がちょっと早くなったぐらいでしょうか。
2階席は色々優遇されている上に座席数も少ないからそりゃそうだ、と言われそうですが、ご紹介したようにエコノミークラスからの搭乗も降機も別ルートでしっかり確保されているので、通常のB787のエコノミークラス後方席を利用するのと全然変わらないと思います。
次に心配だった入国審査場の混雑はご説明したとおり、ホノルルでも日本でも時間帯の影響のほうが遥かに大きいでしょうね。
唯一受託手荷物の受け取りだけは、ノンステータスのエコノミークラスだとフライングホヌが運ぶ荷物が多い分待たされる可能性はあります。
なので全てがすべて全く心配ありません、とまで言わないですが、羽田発着便にこだわるあまりにフライングホヌにお得に乗れる機会を逃す必要まではないんじゃないかな、というのが率直な感想です。