【医師のマンション投資失敗談】シリーズの第5回は、合同会社を設立して配偶者(妻)を代表役員にしたら扶養を外されてめちゃめちゃ焦った、という話をお届けします。
この失敗談シリーズは多くの人がおそらく興味があるのが第2回で、他は蛇足の物語となっています。
参考にならないかもしれませんが、ただの読み物としてさらっと流してもらえれば幸いです。
マンション投資失敗談シリーズはまとめサイトを作って随時更新します↓↓
合同会社を作った後に行ったこと
前回(第4回)で、その時点では必要ないのにマンション投資の管理・コンサルティング業という名目で合同会社を設立しました。
とりあえず目標としていた期間(業務開始後3ヶ月以内)に合同会社を設立できたことでホッとしているのですが、行うべきことはまだまだあります。
- 法人設立(設置)届
- 法人銀行口座の開設
- 健康保険/厚生年金保険保険料口座振替納付(変更)申出書
- 健康保険/厚生年金保険新規適用届
- 健康保険/厚生年金保険被保険者資格取得届
他にもあるのかもしれませんが、手元にデジタルとして残している合同会社設立後フォルダに残っているファイルはこれらです。
大きく分けて「税務上必要な書類」と「社会保険上必要な書類」となります。
税務上必要な書類の提出
税務上、会社設立(登記設立)してから2ヶ月以内に所轄の税務署に法人設置届を提出しなくてはいけません。
届出のフォーマットは各市町村で異なるようですが、ワタシが利用した会社設立freeeは設立後に提出する法人設置届も作成してくれるサービスが有り、そのフォーマットでも問題ありませんでした。
含まれる書類は以下のとおりです。
- 法人設置届書
- 合同会社株主等の名簿
- 青色申告承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 設立時賃借対照表
- 源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書
今ですらチンプンカンプンな書類たちですが、会社設立freeeを使用していれば設立時に入力した情報でほぼ自動的にすべての書類を作成してくれます。
自動でしてくれるということはワタシ自身が全く頭を使っていないということなので、これらの手続きについては全く覚えていません^^;
出来上がった書類とともに用意するものもすべてfreeeが指示してくれるので(定款のコピーや登記事項証明書など)、すべてそろえて税務署に行くだけです。
ただ登記事項証明書の取得や税務署訪問とか、平日の昼間に動かないとできない用事が多々あり、仕事上の隙間に動くのが大変でした。
法人設置届は市町村の法人住民税などの担当課にも提出しないといけないらしいですが(ネット上の知識)、税務署以外に行った記憶がありません。ただメモには都道府県税事務所と市区町村役場への書類提出の旨が書いてあるし、法人県民税も市民税も収めているので、まあ不備はなかったのでしょう。
社会保険上必要な書類の提出について
会社を設立した場合には、従業員数および業種を問わず、健康保険の強制適用事業所に該当することになり、社長1人だけの会社で他に従業員がいない場合でも、会社組織をとる以上健康保険に加入しなくてはいけないのです(健康保険法)。
健康保険には「協会けんぽ」と「健康保険組合」がありますが、後者は大規模な法人自体が設立するものなので、通常は「協会けんぽ」に加入することになります。
また社会保険とは狭義では「健康保険」と「厚生年金保険」のことを指し、両方を同じ届出書で提出することになります。
その届出は会社設立(登記完了日)から5日以内に行う必要があり、相当慌ただしいです。
提出した記憶がある書類は以下のとおりです。
- 健康保険/厚生年金保険新規適用届
- 健康保険/厚生年金保険被保険者資格取得届
- 健康保険/厚生年金保険保険料口座振替納付(変更)申出書(←法人口座開設が必要)
①の届出書で困ったのは、給与計算日とか給与支払日などを記載する欄があることです。たぶん適当でいいと思いますが、その適当さすら分からないのがド素人たるゆえんなんですよね。
まあ自分の職場のタイミング合わせて適当に記入しました。
問題は②の書類です。この書類には「標準報酬月額」を記入する欄があるのですが、ここが今回の「失敗談」の肝になります。
標準報酬月額は、保険料額や保険給付額を算出する基礎額となるほか、将来受給する年金額にも影響を及ぼすので重要な数値なのですが、当然会社設立間もない時期では分かりません。
ただ合同会社の代表役員についた妻の役員報酬のことなので、適当に決めていいといえば適当でいいんです(ホントはダメかも知れませんが、たぶん設立時の資本金から大きく逸脱してなければ怪しくはない?)。
実は(常識?)健康保険と厚生年金保険(条件が当てはまれば介護保険)の保険料(いわゆる社会保険料)は、標準報酬月額を基礎として算出します。
標準報酬月額が大きければ当然月ごとに支払う社会保険料は高くなり、標準報酬月額が小さければ社会保険料は少なくなります。
赤字の個人事業としてのマンション賃貸業から法人に報酬(コンサルティング料)を支払ってその法人の収益から役員報酬を払うというスキームなので、さらに赤字幅が増えるような社会保険料は少ないほうがいいに決まっています。
というか、法人を赤字決算しても自分の所得と損益通算できないので意味がない。法人税がゼロになるぐらい?
ただ社会保険料を支払う以上、役員(ここでは妻)は新たな社会保険に加入することになります。
ワタシの扶養を外れて新たな健康保険証が送られてくるのです。
この妻の新たな健康保険証が送られてきたときに、ワタシは事の重大さにやっと気づくことができました。
諸手続きは所轄の年金事務所で行います。こちらが困っていると優しく教えてくれますが、やはり平日に行く必要があり大変です。
その他「労働基準監督署」へ保険関係成立届と概算保険料申告書の提出、「公共職業安定所」への雇用保険適用事業書設置届と雇用保険被保険者資格取得届の提出が必要な旨、メモに残っていました。
それらの手続きについて全く覚えてないのですが、年金事務所に隣接してそれらの窓口機関があったのでおそらくまとめて処理をしたのでしょう。いや、必要ならしただろうし必要じゃないならしなかっただろうし…ホントに独力で良くやったと思い出してそう思います。
社会保険料の支払いをなしにして扶養家族に復活させる
妻の新しい健康保険証が送られてきたときに言いようもない不安にかられました。
- あんなしょぼい(失礼)手続きでできた保険証で大丈夫なのか?
- 妻が完全に扶養を外れた証じゃないのか?
- 扶養を外れたということは今後の税金や確定申告はどうなるんだ?妻の分もしないといけないのか?
- 扶養を外れるというのは社会保険に関してで、市民税とかはいいのか??
などなど…今後のことを考えると心配のタネは尽きません。報酬が少なければ心配しなくていいのかもしれませんが、それすらも分かりません。
何より社会保険料の支払いは最も少なくなる標準報酬月額にはしたのですが、会社との折半としても毎月1万円以上を支払わないといけないのです(多分そうだったような気がします)。
元々赤字運営からさらにお金が流出することを意味します。
そして毎月の給与計算とか社会保険料の計算とかその他諸々の書類提出なんてまっっっったく分かりません。
それはもはやプロの仕事です。資格で言えば社会保険労務士なのでしょうが、依頼して報酬を支払うような事業でないことは明白です。
実は会社を設立したら原則社会保険に加入しなくてはいけないのですが、例外があります。
それが「役員報酬がゼロ」の場合と「役員報酬が非常に少ない」場合です。
上記の場合は社会保険の最低支払額(12,000円程度)も支払えないので加入できません。その場合は国民健康保険に加入するか、その前に加入していた健康保険を継続するかができます。
ワタシは迷わず「役員報酬がゼロ」を目指すことにしました。役員報酬が少額でも発生したら諸々の会社的手続きが増えることが予想されたからです。
ワタシが独力でするにはもはや無理な範疇に入っていることを自覚しました。この時点で設立した合同会社にコンサルティング料を払うこともせず、会社として運営することを諦めたのです。設立してから1ヶ月も経っていません(ToT)。
問題は一度扶養から外れて新たに健康保険に入ってしまった妻をワタシの扶養に戻し扶養家族として健康保険に入り直すことです。
もちろん分からないので年金事務所に泣きつきに行きました。
「事業がうまく行かなくて予定していた役員報酬が支払えないんです。よって社会保険料も払えません。どうしたらいいでしょうか(T_T)(T_T)(T_T)…」
ワタシの場合は幸いにしてすぐに動いたので、第1回目の会社からの社会保険料支払い前だったのです。
それ故に反省文(健康保険・厚生年金保険資格取り消し願い理由書)を書いて、再度指示された届出書(もはや覚えていません)と一緒に年金事務所に提出することにより、それほど面倒なく妻の元の健康保険証を取り戻すことに成功しました。
ちなみに反省文は決まった書式があるわけではありません。反省文の書き方や今回扶養に戻すことも含めて、すべてググって調べました。検索は偉大なりです。そしてそういう情報を残してくれている先人たちに感謝です。
社会保険料を支払っていないため、毎年6月頃になると「保険料払ってないけどホントなん?嘘ついて踏み倒していない?今どないな感じなん??」という問い合わせお手紙が届きます。
まあ実際に役員報酬が発生していないどころか合同会社自体が休眠状態なので、そのたびにその旨を記載して提出しています。
まとめ
【医師のマンション投資失敗談】第5回目、会社設立後にする諸々の手続きの中で妻が社会保険上の扶養を外れて超焦った話をお届けしました。
会社労務的な色々なことが分かっていて手続きができるのなら、妻の報酬を低所得者の範囲に収めることによって様々な税制上の恩恵を受けれたのかもしれません。
でもワタシにはムリです。無理なんです。
本業以外の時間を使ってそれらに頭を悩ませるのも手続きをするのもワタシの許容範囲を超えています。
そんなことに頭を悩ませるのなら、高い所得税を払い続けます。諦めました。
そして元々のマンション経営が赤字である以上、報酬を払ってまでプロにお願いするのも現実的ではありません。
この回は「合同会社の運営を諦めたきっかけ」というちょっとだけこのシリーズでも重要なフェーズではあるんです。
よって次回は節税対策のもう1つの柱である「マンション賃貸業を営む上での個人事業主としての登録」という話になってきます。
シリーズで常に書いていますが、ド素人のただの体験談なので、知識不足の酷さや認識の誤りも多々あるかもしれません。
読み物として理解してくださると助かります。
もちろん正確な内容は個々人で調べて対応してください。